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Oracleユーザが必ず陥る落とし穴

SoftwareOne blog editorial team
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VMWareでのOracleの利用

多くの企業では、古くからOracleデータベースを企業の業務基盤として使用しており、業務を遂行する上では無くてはならないものになっています。そして日を追う毎に、業務のスピードと正確性が常に求められ、ソフトウェアと共にハードウェアの高可用性もハイレベルでの維持が必要不可欠となっています。そのような中、企業ではリソースの効果的な利用を求め、単に1つのシステムに独立したハードウェア環境を用意するのではなく、仮想環境を使った高可用性を至るところで実現しています。特にその中でもVMWare社の仮想技術は、その安定性や構築の容易性などが高く評価され、多くの企業で導入されていることは周知の事実です。

このようなことから、OracleデータベースとVMWareの仮想技術は、今ではユーザーにとって必要不可欠な組み合わせであり、業務システムの根幹を成すものと言っても過言ではないでしょう。

非常に便利かつ高可用性のあるこの組み合わせですが、実は大きな落とし穴が存在しています。しかも残念なことに、ほとんどのユーザーが、根拠の無い情報を基に、この落とし穴を落とし穴と気づかずに、自社の基盤を構築してしまっているのが実情です。

中には薄々その落とし穴に気づいているユーザーもいます。でもそれらのユーザーも「だからと言ってどうすれば良いのだろう?」と、その落とし穴を回避する方法を持ち合わせておらず、結局、いつまでも地雷を抱えたまま、只々その地雷が表に出てこないことを祈ることくらいしかできていません。

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そもそも仮想環境に対応したライセンスルールなど存在しない 

  • VMwareなどを導入するときに、Oracleのユーザーは日頃から付き合いのあるSIerなどに、色々と相談していることと思います。そしてそこでは、Oracleのポリシーを基に、このようなことをアドバイスされているでしょう。

1. VMWareは、OracleでいうSoft Partitioningというカテゴリに分類される

2.
Soft Partitioningとは、OSのリソースマネージャによってOSを分割するものであり、OSはCPUのリソースを、同じOS上のアプリケーションに割り当てることで、Oracleデータベースへのリソース配分も柔軟におこなうことができる。つまりSoft Partitioningにおいては、管理者は容易にかつ自由にOracleデータベースのCPU数の設定を行うことできる

3.
Soft Partitioningでは、Oracle製品がインストールされる(または稼働する)物理サーバーに搭載されているすべての物理プロセッサが、ライセンスカウントの対象となる

さて、これを見ると、1, 2については、「VMwareとはどのようなものか」を示した内容、最後の3がそのSoft Partitioningに対するライセンスルールのようになります。これに対して、従来からある物理環境でのOracleのライセンスルール(Processor)はどのようになっているかというと・・・

  ‐ 対象プログラムがインストールされ及び/又は稼働しているサーバー上のプロセッサの総数として定義される

と明示されています。表現そのものは多少異なるものの、定義されている内容は上記3と同じです。つまり、仮想環境であれ物理環境であれ、OracleのProcessorライセンスの定義は変わっていないのです。私どもも、ライセンスコンサルティングの中で、Oracleユーザーから、「仮想環境でのOracleライセンスのルールはどこに書かれているのか」と聞かれますが、そもそも仮想環境用のライセンスルールなどOracle社は定義しておらず、物理環境に適用していたライセンスルールを、そのまま仮想環境にも適用しています。ですので、「仮想環境用のライセンスルール」など、最初からどこを探しても無いのです。

Oracle社はVMwareのVersionに言及していない

VMwareはそのVersionによって、提供される機能が大きく異なります。特に、動的に割り当てられるリソースの範囲はVMwareのVersionが上がるごとに拡大されます。これは日頃よりハードウェアリソースの有効活用を心掛けているユーザーにとってはとても有難い機能です。

  • VMWare 5.0

    同一クラスタ内で、割り当てられるリソースが動的に移動し、変更することができる

  • VMware 5.1

    一つのvCenter配下で管理されるすべてのクラスタにおいて、割り当てられるリソースが、クラスタを跨いで動的に移動し、変更することができる

  • VMWare 6.0

    複数のvCenter配下でされるすべてのクラスタにおいて、割り当てられるリソースが、vCenter、クラスタを跨いで動的に移動し、変更することができる

例えば、上記の通りVMWare 5.0では同一クラスタ内でのみリソース共有が行われるのに対して、VMWare6.0ではvCenterを跨いだリソース共有が行われます。これは前述のOracleライセンスのルールに照らし合わせると、VMWare5.0では、そのクラスタを構成しているすべての物理サーバーのプロセッサ数分のライセンスが、またVMWare6.0では、すべてのvCenter配下にあるすべての物理サーバーのプロセッサ数分のライセンスが必要と読み取れるでしょう。

そしてOracleユーザーはこの点に注意して、VMWareのVersionをアップグレードせずに、下位バージョンのVMWareの環境でOracleを使用したり、場合によってはわざわざVersionをダウングレードさせたりしています。

しかし、ここでOracleユーザーが気づいていない大きな落とし穴があります。

それは、Oracle社はVMWareのVersion毎に、必要なOracleライセンス数を規定したりなどしていないということです。

確かにVMware 5.0では同一クラスタ内でしかリソースの共有は行われません。ですが一方で、Oracle社は「VMware5.0であれば、同一のクラスタを構成する物理サーバーのプロセッサ数分のライセンスでよい」などということも一切言っていません。これが、多くのOracleユーザーが誤解をしている点です。

もう一度、Oracle社のライセンス定義を見てみましょう。

 
- 対象プログラムがインストールされ及び/又は稼働しているサーバー上のプロセッサの総数として定義される

Oracle社が言っているライセンス定義は、この一言だけです。VMwareのVersionには一切言及していません。つまりこれは裏を返せば、「VMwareのVersionが何であろうとも、必要とするライセンス数には関係が無い。仮に今、VMWareのversionが5.0でリソース共有の範囲が同一クラスタ内であったとしても、ユーザーはいつでも自由にVersionをアップグレードすることが可能である。つまり同一クラスタを超えてリソース共有される可能性は常にある。故に、VMWareのversionが何であれ、共有される可能性がある限り、その可能性のあるリソース分のライセンスが必要となる」ということになります。

勿論、VMwareはそのVersion毎に、技術的にリソース共有の範囲を制限しているので、VMWare5.0を使っている以上、クラスタを超えたリソース共有は物理的に起こり得ません。ですが、技術的に制限されていれば、その範囲内のライセンスで良いということを、Oracle社は一切述べていないのも事実です。従って、その範囲内のライセンスで良いという判断を下すには、あらかじめOracle社からその旨の承認(例外条件)を取得しておかなければなりません。

言い換えれば、そのような例外条件を得ずに、自己の判断で必要なライセンス数を決めていても、監査で認められるとは言えませんし、監査で指摘された場合は、法外な是正金額を提示されることになります。

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Oracleライセンスの監査リスクを軽減する

SoftwareOneのOracle アドバイザリサービスは、Oracleライセンスに関する専門知識と数多くの経験により、お客様が遭遇するあらゆる課題をサポートします。

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