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予想されるOracle社のビジネス戦略

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予想されるOracle社のビジネス戦略

営業がお客様に何かを提案するためには、お客様の状況を知ることが第一です。ソフトウェアベンダーがお客様のビジネス成長を考えて、お客様とwin-winの関係を作ろうとしているのなら歓迎ですが、実ビジネスでは、必ずしもすべてがそうとは言えません。果たしてOracle社はどうでしょう?

ITのマーケットがオンプレミスからクラウドに移行しつつある中、Oracle社にとって直近の目標は、Oracle CloudをクラウドマーケットでのLeader(トップシェア)製品に成長させることです。

周知の通り、薄利多売の典型的なモデルであるクラウドマーケットで、Leaderになるためには、どこよりも多くのSubscriberを獲得することが必須要件となります。Amazon、Microsoft、Googleなどは、クラウドビジネスのトレンドとモデルをいち早く取り入れ、今日、膨大なSubscriberを獲得したメジャープラットフォームとしてクラウドマーケットのLeaderの位置を保っています。

そのような中、Oracle社も多くの設備投資を行い、メジャープラットフォームに引けを取らない基盤を提供しています(Oracleの直近のキャッシュフローは決して良いとは言えませんが、これらの投資が要因であることを考えると、決してネガティブなものではないでしょう)。そして並行してSubscriberの拡大を目的としたビジネス戦略を打っています。 Oracle社にとって、Oracle CloudのSubscriberを増やすということは、ユーザーとの間でその使用権(subscriptionやBYOL)の契約を締結することを意味します。それによってOracle CloudのSubscriberが増え、Oracle社はそれをマーケティングメッセージとしてアピールし、更なる増加を目指していきます。

ではOracle社はどのようにしてOracle Cloudの契約をユーザーとの間でまとめ、Subscriberを増やしていくのでしょうか?

契約の重要性

ライセンス調達は契約行為であることを認識する

ある日、あなたは「これは為になる」と思った本を買ったとしましょう。ビジネスに役立つからぜひ部下にも読むように薦めたいところですが少々厚い本です。部下思いのあなたは「キーポイントとなる箇所をコピーして部内で回覧しよう。そうすれば要点だけでも伝えられる。」と、早速、本の一部をコピーし始めます。これは稀にオフィスで目にする光景かも知れません。ところがこれは立派な違反行為です。単なる事実の伝達でない限り、コピーや社内ネットワークにアップロードするなどして他人に閲覧させるのは著作権法違反の行為だからです。とは言え、現実にはそのような法律を日常において意識していないでしょうし、意識していても「限られた組織内だから良いか」と自分なりの解釈で回覧したりしているケースは無いでしょうか。

これと同じ話がソフトウェアの世界にも存在します。ソフトウェアは著作権法に守られた著作物ですので、無断でコピーすることは違法行為にあたることはご存じのことでしょう。しかしそれ以上に厄介なのは、ソフトウェアを開発したベンダーによって独自に定められたルールやポリシーの存在です。ユーザーはソフトウェアを購入する際に、「そのルールやポリシーを遵守する」ことに合意して購入していることから「売買の契約」が成立します。それは言葉を代えれば「法的に保護された約束事」という重い意味を持ちます。従ってベンダー側はユーザーがその約束事を遵守しない場合、賠償請求するための然るべき手段もとることができます。

一般的にその手段は、違反を是正するに足り得る追加ライセンスの購入をもってなされる「ファイナンス的解決法」になります。しかしOracleのように違反が発生した時点に遡って保守費を請求したり、ペナルティーを設ける場合もあります。Oracleの場合その是正総額は数億円~数十億円になることが多く、ちょっとした企業なら死活問題になるような金額です。「契約」というと日本では諸外国と比べてそれほど重視されない傾向がありますが、これは元々、日本の商業的慣習に由来するのかも知れません。しかし今や海外のソフトウェアやサービスは日本のそれを凌駕しています。日本よりはるかに契約重視のビジネスでありOracleも然りです。ライセンス調達は単に買い物ではなく、契約であることを多くのユーザーには改めて認識していただきたいところです。

違反が故意でなければ免除されるか?

ソフトウェアを調達・使用するにあたり、その契約は実に重要です。契約重視の国に拠点を置くOracleのような海外ベンダーであれば尚更です。とはいうものの「契約」は、書面という形で明文化された合意事項であり、何らかの違反を抑制するプログラム上の仕組みが製品に組み込まれている訳ではありません。つまり違反を犯さないような安全装置は付いていないのです。一方でソフトウェアを使うのは人間ですから、そこには必ずミスや失念、誤解という回避できない問題が付きまといます。当然「過失」(不注意による失敗)による違反は十分に起こり得ますし、それに対して是正のための高額な支出を要求されるのはユーザーにとって実に不本意であり承服できないことでしょう。それでは「過失」であれば、違反は免除されるのか?というとそうではありません。何故ならOracleは「ライセンスを正しく管理し、コンプライアンスを遵守・維持することがユーザーの責務である」ということを契約に謳っているからです。つまりこれも先に述べた「ライセンス調達は契約行為です」ということを重視しなかったユーザー側の落ち度であると言わざるを得ません。Oracleはユーザーのライセンス違反が過失であってもルール上、免除とはならないのです。

契約はその内容を正しく知ることが必要

ソフトウェアに限らず、世の中の契約書とは実に理解し難い文言です。同じ日本語なのにどうしてこうも理解できないのか?と頭を抱えるユーザーも多いことでしょう。残念ながら契約の文言は、一般的にある程度幅広く解釈できるように書かれることが多いものです。これは意図している場合もありますが、そもそも限られた字数で両者が厳密に理解し、共通の認識を得ることは現実的には難しいものがあります。それでも何とか理解しようとしますが、問題はそこに「読み手の常識や経験」が入ってくることにあります。つまりユーザーはライセンスの契約書を読み解くときに、自分の常識や経験則に従ってその文言を解釈します。実はそれがユーザーの起こす1つ目の大きな問題なのです。 ソフトウェアベンダーとソフトウェアユーザーはそもそも立場が異なります。ベンダーは作り手、ユーザーは利用者としての目線で契約文言を解釈します。そのためベンダーとユーザーの間では解釈の齟齬が発生し、ベンダーが契約で求めていることを正しく理解せずにそのソフトウェアを使用することで違反と判断されるのです。実はこれに起因して監査で大きな違反を指摘されるケースが非常に多く、むしろOracleに指摘されるライセンス違反の根本原因は、ほぼこれに尽きると言っても過言ではないかも知れません。

当社でもOracleユーザーへのコンサルテーションの一つとして、最初にユーザーが持っているライセンス契約の読み解きを行いますが、全員が全員「そういう意味だったのか。明らかに誤解していた」と驚き、自分たちが誤った解釈でソフトウェアを使っていて、そこに巨額な違反があることに気づくのです。ソフトウェアを正しく使うことは、契約を正しく知ることですが、実際には多くのユーザーが自分なりの解釈で誤った理解をし、ライセンス違反の状態にあります。そしてこれは残念ながら事実です。

Oracleユーザーに起こるある出来事

担当営業が訪問してきた。その真の目的は何か?

ベンダーと長いお付き合いをしてくると、お互い信頼の上に会話がなされます。ベンダーの担当営業も「御社が引き続き成長するためにも、ぜひ有益な提案をしたい」と、Win-Winの関係を維持するために必要なアプローチをしてくるでしょう。しかしユーザーには、それが本当にWin-Winの関係を望んでの提案なのかをぜひ見極めていただきたいものです。勿論、結果的にWin-Winになる提案のための訪問かもしれません。ですが少なくとも最終的にはベンダーが必ずWinになり、ユーザー側はlostになるケースが多いことを肝に銘じていただきたい思います。間違っても最終的にベンダーがLostになるような提案は絶対にしてきません。それはビジネスの基本だからです。従っていくら良い関係だからと言って、担当営業が聞いてくることに真正直に安易に答えてはいけません。ましてや自分から積極的に情報を開示するなど以ての外です。言葉は悪いですが、担当営業はユーザーから聞き出した情報をもとに、自らがWinになることを第一優先とします。勿論、それは悪いことではありません。ビジネスとはそういうものですから。ただユーザーはそれを前提に、担当営業の訪問の真の目的は何かを知ることが非常に重要なポイントになります。

ちょっとした一言で、大きな決断をせざるを得ない状況に追い込まれる

担当営業の真の目的を知ることが重要であることは先に述べた通りです。とは言え、相手を疑ってかかるのも決して気分の良いものではありませんが、ここでは実例を一つ挙げてみることにしましょう。

ある日Oracleの担当営業が訪問してきます。目的は「御社の成長のためのITシステムの見直し提案」です。複雑化した現在のITシステムの見直しは是非考えてみたいし、それによって高止まりしている年間の保守料も低減させることができるかもしれません。そんな期待をもって担当営業と会話をしていると、その担当から「良い提案をしたいので、御社の現在のIT環境を教えて欲しい。特に仮想環境はリソースの有効利用という点から改善の余地が大きいので、まずは仮想環境の構成図を見せて欲しい」と依頼を受けます。勿論あなたは何の疑いなく仮想環境の構成図を見せることでしょう。 実はこれが大きな問題に発展する切っ掛けとなります。/,p>

Oracleは仮想環境に対して個別のライセンス定義をしていません。仮想環境と言えども、物理環境と同じ定義が適用されます。唯一の例外は、OracleがHard Partitionと認定している仮想化技術に対する考え方ですが、VMWareなど、Hard Partitionに分類されていない仮想化技術を使用している場合、必要となるOracleのライセンスは莫大な数になります。 Oracleはあなたから入手した仮想環境の構成図から、そこで必要となるライセンス数をシミュレーションします。シミュレーションは至って簡単な足し算です。その結果、VMwareを使用しているあなたは大量のライセンス不足を指摘されます。金額に換算すると150億円~200億円のコンプライアンス違反です。

そう、良かれと思って提供した仮想環境の構成図は、良い提案どころか、ライセンス違反の確認のために使用されているのです。

「良い提案を考えていたのですが、現状の構成では大規模なライセンス違反があります。残念ですが・・・。」との担当営業からの言葉に、あなたはこれからどう対処するでしょうか?

二者択一

この事実に担当営業が勧める提案はこうです。「いただいた仮想環境の構成図から必要なライセンス数を暫定計算したところ、150億円~200億円相当のライセンスが不足していることが分かりました。これはライセンスコンプライアンス違反です。すぐに是正していただかなければなりませんが、これほどの高額を支払っていただくのは難しいでしょうし、現実的ではないと思います。そこで良い提案があります。今お持ちのライセンス契約を、無制限ライセンス契約(Unlimited License Agreement:ULA)に切り替えませんか?」と。

ULAとはあらかじめ選択した製品のライセンスを、決められた期間(通常は3年または5年間)、数量無制限に使用できるライセンス契約です。無制限に使用できるので、ライセンス不足という問題は一気に解消します。勿論、ULAを締結しても締結前までの違反が解消されるわけではありません。あくまで締結後は違反状態が解消されるということです。本来であれば、Oracleは違反が発生した時点に遡って是正遡及を要求しますが、ULAの締結と引き換えに、それまでの違反については言及しないというのが、今現在Oracleが行うスタンダードな提案です。それでもULAは一般的に高額な契約になります。通常、3年間で(規模にもよりますが)数億円~20億円弱でしょう。100億円を超える違反を是正することを考えれば遥かに安い買い物ですが、それでも高額であることには変わりありません。

あなたは気づきましたか?「会社の更なる成長に貢献できる提案」を期待していたのに、仮想環境の構成図を良かれと思って提示してしまった結果、「どうやってライセンスコンプライアンスを解消するか」という全く別のテーマに話が変わってしまっているのです。

しかもここで「ULAは標準的な契約ではないので提案は一度しかできません。今すぐULAに切り替えるか、でなければ違反があることは明白なので、正確に調べるために監査を受けていただくか、どちらかを選択していただく必要があります」とあなたに二者択一を迫ってきます。

ここでULAの提案を断れば、正式な監査によって違反の金額が確定してしまい、支払い金額はULAの提案額を優に超えてしまいます。ULAに切り替えるか監査を受けるはユーザー次第ですが、どちらにしても想定外の高額なファイナンスリスクは、この時点で最早、回避できなくなっているのです。

十分な知識と情報コントールの重要性

どうすれば回避できたのか?

上述したストーリーは決して作られたものではなく、実際に複数のユーザーで起きている事象です。しかも特定の会社、特定の業種に限った話ではありません。どのユーザーでも起こる話であり、正に現在進行形です。ユーザーには常にこのような動きに対処できるよう、必要な準備をしておくことを強く推奨します。

ではその準備とは何か?多くのユーザーがこのような流れに巻き込まれてしまう原因は大きく2つあります。

1つ目はライセンスに対する明らかな知識不足です。ベンダーが定めているルールやポリシーは一般にwebや契約書に文字として公開されていますが、必ずしも分かり易いものではありません。限られた字数で表現されている以上、その情報の正確性にはどうしても限界があります。その中でほとんどのユーザーはそこに書かれた内容を自分が持つ常識に当てはめて自分なりに解釈をします。しかしそれはベンダーが意図した解釈と異なることが往々にして起こるのです。その典型的な例が前述の仮想環境に関するポリシーです。当社では多くのOracleユーザーから、「仮想環境でのライセンスルールはどこに書かれているのか?」と問い合わせを受けます。しかしそのようなルールは存在していません。存在していないにも関わらず、ユーザーは存在しているはずだと勝手な解釈をします。それは物理環境と仮想環境はインフラの構成がそもそも異なり、その環境が違う以上、それぞれにルールが設定されているはずだという自分なりの常識で判断しているからです。ユーザー視点ではそれが正しい判断でも、ベンダー視点では違います。重要なことはルールやポリシー、そして契約文言に至るまで、それらが意図している本来の意味を正しく知ることにあります。そしてこれらの情報はどこにも落ちてはいません。ライセンスの専門家のサポートが必要です。

2つ目は安易な開示はせず、情報を正しくコントロールすることです。勿論、ベンダーもユーザーとより良い関係を継続するために、メリットのある提案をしようとするでしょう。しかしだからと言って必要以上に公開するのは命取りになります。大切なのは、ベンダーはその情報から何を得ようとしているのかを正確に知ることにあります。つまり言葉を代えれば、ベンダーのビジネス戦略を知るということです。そのためにはベンダーのこれまでのビジネスの流れや方針などを逐次情報収集する必要がありますが、あなた自身そのために大切な時間を費やすことができるでしょうか。情報収集は一個人では限りがあります。それこそベンダーに詳しい専門家の協力を得ることが最も早く確実な方法なのです。

A person walking down a hallway with a rainbow colored wall.

まずは当社へご相談ください

当社では、Oracle社がGlobalに公開している約11,000にも及ぶWebサイトを常時トラッキングし、最新の更新情報を押さえています。これは他社には無い仕組みです。またそれらの膨大な知識ベースと共に、ライセンスの深い知識と経験をもったコンサルタントが多数在籍しています。  

是非ともOracle社に利用状況を開示する前に、「本当に開示すべきか」、まずは当社にご相談ください。想定していないコンプライアンスの問題を未然に防ぎ、膨大な財務上のリスクを回避するためのサポートを致します。

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