企業がクラウドの価値を最大化するには

クラウドを導入することは、クラウドネイティブの新興企業による影響を受けやすく、急速に進化する今日の市場において、企業としてのパフォーマンスを加速させ、競争力を維持するための優れた方法です。企業はクラウドによって投資収益率を高めることができ、収益とコスト削減を促進し、その他多くの戦略的・経営的利益を生み出すことができます。

企業のクラウド利用が進むにつれ、クラウド・コストは低下します。

SoftwareOneが北米の中堅企業の上級技術幹部300人を対象に実施した調査では、クラウドへの移行が進むにつれてクラウド投資コストは低下し、同時に収益とコスト効率が向上していることが明らかになりました。

クラウド移行を始めたばかりの組織（クラウド初心者企業）は、売上の1.3％をクラウドに投資していますが、クラウド上級者（クラウドリーダー企業）は売上の1.1％を投資しています。またクラウド導入が初めての企業の場合、ビジネスコスト全体は19%減少すると報告されていますが、クラウド・リーダー企業になると、その削減効果は25%にまで拡大します。

収益についても同様で、クラウド初心者企業の4分の1が収益増加しており、こうした企業がクラウド・リーダーへと変貌を遂げるにつれ、その割合は48%にまで跳ね上がります。調査回答者が報告したクラウド利用によるその他のメリットには、ビジネス規模の拡大、回復力と敏捷性の向上、市場競争力の向上、顧客維持などがあります。

2年以内に、企業のクラウド利用が進むにつれ、中堅企業でこれらのメリットを享受している割合は上昇すると予想されています。： 56%は収益の増加、53%はコストの削減、49%はビジネス規模の拡大、47%は回復力と俊敏性の向上、46%は競争力の向上をもたらすと予測しています。

スタートこそ遅れたものの、中堅企業は取り残されない様にクラウド化を加速させています。 調査対象のほとんどの企業は、過去2～4年以内にクラウド移行を開始し、現在ではアプリケーションの37％をクラウドで運用しています。 これらの企業は、2年以内にこの割合を48%まで引き上げようとしており、現在約4つの主要ビジネスをクラウド移行済みですが、これを今後2年間で5つに増やしてゆく予定です。

クラウドへの移行は複雑で、経営陣が乗り越えなければならないテクノロジーとビジネスの障壁が迷路のように入り組んでいることが多いです。 最も一般的な課題は、データのセキュリティとプライバシーの確保、適切なプロバイダーとツールの選択、クラウド移行中のサービス維持などがありますが、その他にも技術的負債への対処、コストの追跡と管理、適切な組織基盤の欠如などといった、頭の痛い問題もあります。

クラウド利用を最適化するための6つのベストプラクティス

こうした障害を克服し、クラウドの成果を最適化するために、中堅企業は調査で明らかになった6つのベストプラクティスを検討すべきと思われます。

1. ベストプラクティスやクラウド財務管理（FinOps）などのツールを使用して、クラウドのコストを積極的に管理し、説明責任を果たすという企業文化を醸成する。
2. クラウド変革における技術面よりもビジネス目標に焦点を当てることで、正しい根拠に基づいて意思決定が行われ、望ましい結果が得られるようにする。
3. アプリケーションの移行とモダン化に関する意思決定には、ビジネス上の重要事項に焦点を当て、正しい優先順位を設定するといった構造的なアプローチをとる。
4. トレーニングやアドバイスを提供するクラウド・センター・オブ・エクセレンスを設立し、クラウド導入で成功するための企業文化と人材を育成する。 これにより、適切なクラウドガバナンスと標準プロセスを実現し、クラウドのベストプラクティスを広く普及させる。
5. 様々なクラウドサービスモデルを使用し、必要に応じてスキル面の不足を埋めるために様々なクラウドテクノロジーパートナーを活用しながら、適切なツールとパートナーを選択する。
6. クラウド移行計画の中心にサイバーセキュリティを位置付け、移行前にアプリケーションのサイバーセキュリティを評価・改善し、そして技術チームにクラウドセキュリティの専門知識を持たせる。