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AI導入の秘訣:「小さく始めて大きな成果を得る」

Markus Martwich
Markus MartwichDirector Digital Workplace DACH
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AIをどのように導入すべきかお悩みですか?

それならば「大きな理想」を持ちながらも、最初は「小さく」始めて、導入によって得られる経験則を活かしながら広範囲に導入を展開してゆくやり方が良い理由があります。

これは、SoftwareOneの最新調査から導き出せる結論の1つであり、これによると中堅企業の84%が顧客向けアプリケーションに展開する前に社内でAIを習得していることが示されています。

こうした高い業績を上げている企業(弊社では「オプティマイズド・イノベーター(コスト最適を目的にAIなど最新IT基盤を先進的に構築した企業)」と呼んでいます)は、誰もが実践できる実用的なパターンを生み出しています。まず社内向けのプロジェクトに焦点を絞り、実地経験を通じて専門知識を蓄え、その後、より複雑で斬新な顧客向けアプリケーションへと拡大していくのです。

これらAI導入の先駆者たちが残した成果は何だったのでしょうか。それはすなわち同業他社の2倍のROI(投資収益率)と持続可能な成長への明確な道筋だったのです。

それでは、これらの企業が実際にどのようなやり方でこのアプローチを実践したのかを見て行きたいと思います。

基本から始める

当社のレポート『コスト最適化によるイノベーションでビジネス成果を促進する』によると、オプティマイズド・イノベーターの33%は、AI導入の重点分野として、まず社内コンテンツの生成と要約から始めています。また、47%はまずパフォーマンス分析とレポート作成へのAI導入に重点を置いています。これら実用的な用途から導入をスタートすることは理にかなっています。何故ならこれらは効果測定が可能で管理しやすく、明確なビジネス上のメリットをもたらすからです。

例えば、Redington Groupのケースを例に挙げてみましょう。

当社の調査では、こちらのお客様のAI導入成功は、基本的な生産性の向上から始まったことが明らかになりました。コードの評価、文書の要約、そしてテンプレートの作成にAIを活用したのです。これらの用途に絞ったAI活用により、すぐに成果が得られ、それが自信につながり、さらなるイノベーションを促しました。特に重要だったのは、運用に携わるチームにとって、実環境でAIを活用する経験を得られたことです。

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こうした調査結果は、当社が日々のサポート活動を通じお客様と直接関わる中で得られた教訓です。

例えば、SoftwareOneのお客様であるAAMI社の例は、このAIの利活用が実際どのように展開されてゆくかを示しています。この大手半導体メーカーは、SoftwareOneとMicrosoft 365 Copilotの支援を受け、ワークプレイスの変革に取り組んでいます。これまで構築してきたMicrosoft 365環境を基盤として、AAMI社はSoftwareOneと提携し、ワークプレイスAIテクノロジーを採用することで、業務の近代化のみならず社内のイノベーション文化醸成を目指しています。

SoftwareOneのCopilotアドバイザリーサービスを通じて、このお客様はマイクロソフトからの一般提供開始(GA)の最初の週に、早期導入ユーザーのグループに対してMicrosoft 365 Copilotを導入しました。 この戦略的な展開により、時代遅れの旧慣行(ローカルドライブへのファイル保存など)から脱却、セキュリティとコラボレーションの向上を目的としたOneDriveへの移行が実現しました。 AAMI社は、スタッフのワークフローをクラウドベースのツールと連携させることで、Microsoft 365の価値を最大限に引き出し、Copilotがその潜在能力を最大限に発揮できるようにしました。同社は現在、チームの働き方を変革した実績のあるプラットフォームを保有しており、自動化はおろか、生産性とコラボレーションに対する考え方を根底から変革しています。

社内のプロセスやデータなど、既に知っている部分からAI導入を始めることで、より難しいAIプロジェクトに取り組むための 強固な基盤が構築されます。しかし、こうした初期の成功を基にどのようにして構築を進めていけばよいのでしょうか?そこで必要となるのが、体系的なスキル構築です。

スキル構築

Redington Groupは、この体系的なスキル構築が実際にどのように機能するかを経験しています。

インフラ、サイバーセキュリティ、そしてデジタルプラクティス担当の副社長であるHarsh Ramling氏は、同社を4つの段階からなる戦略的プロセスに導きました。

  • 生産性の向上:AIを活用してコードを評価、文書を要約、そして効果的なコンテンツを作成。
  • 業務の効率化:社内文書を迅速に検索、利用できるためのAIアシスタントの開発。
  • 将来の予測:データ管理機能と予測分析システムの構築。
  • セキュリティ対策:AIに関する専門知識を活用し、自動化を通じてサイバーセキュリティを強化。
私たちは最初から全社・全目的に向けて導入する方法は敢えて取らず、まず特定のユースケースにだけ試験導入を行いました。これにより、AIの仕組みと可能性に関するノウハウを得ながら、将来の全社にわたる本格的な導入作業に向けたノウハウを獲得することができたのです。

Harsh Ramling

Redington Group  インフラ、サイバーセキュリティ、デジタルプラクティス担当副社長

Redingtonの例を裏付ける例として、SoftwareOneは、自社の顧客でも同様の前向きな進展が見られることを確認しています。

ルクセンブルクの法律事務所 Arendt社は、Microsoft 365 Copilot におけるこうした体系的アプローチの活用方法の好例です。 同社はCopilotの導入を、文書作成の効率化から始め、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなど、使い慣れたMicrosoftビジネスアプリケーションとCopilotを統合した形での概念実証(PoC)を小規模に行うことによりノウハウを獲得しました。 これにより、コンテンツ作成、データ分析、文書翻訳などの合理化の可能性が浮き彫りになりました。 これらの成功体験を積み重ねることで、同社はより複雑なアプリケーションに取り組む自信を得られ、一連の戦略的ステップの構成を経て企業改革への道を加速しています。

こうしてAI導入に関するスキルを段階的に獲得するアプローチは、直ちに生産性の向上を期待できるだけでなく、その後の本格的なプロジェクトに取り組むノウハウや能力を獲得できるという2つのメリットがあります。

タイトルにある「大きな成果」とは、こうしたプロセスで獲得できた経験や対応力が測定可能なビジネス利益として表れた時に初めて認識されるものであり、お客様のコスト最適化に向けての改革を推進する原動力となります。

AIの段階的導入で得られた知見を統合する

こうした「フライホイール効果」がビジネスへ及ぼす影響は、当社の調査に明確に反映されています。 実際、当社のオプティマイズド・イノベーターのお客様での経験から、AI導入において段階的なアプローチを採用することは、社内のみならず対外的な業務に対しても即座に利益をもたらすことが分かっています。

例えばAIの段階的導入により、社内業務においては41%の企業が価値を生み出せたのに対し、その他の導入方法を採用した企業ではわずか28%の企業しか価値を生み出せていません。同様に、サービス業務ではAIの段階的導入により53%の企業が価値を生み出せているのに対し、その他の導入方法を取った企業で価値を生み出せたのは39%にとどまっています。

このことは企業内に強力なサイクルを生み出します。つまり最初の効率化により、新しいAIプロジェクトのための「空き」リソースができます。そしてこれらのプロジェクトはさらに利益を生み出し、さらに進んだ導入のための資金を生み出します。これがいわゆる「フライホイール効果」です。

当社の調査によると、この先進的なアプローチを採用した企業の95%が、2年以内にさらに高度なAI実装へと進むことが見込まれていますが、これは現在の71%から大幅な増加となります。 このパターンは非常に明確です。つまり「小さく始め、慎重に測定し、賢明に再投資」すれば良いのです。 こうした事実は、当社の調査を通じて浮かび上がってきた事実にも当てはまっており、中堅企業がオプティマイズド・イノベーターになると、モダン化されたIT基盤を使用することで、ROIの改善可能性が他の企業の2倍になることが分かっています。

SoftwareOneの顧客であるQNET社 も、このアプローチが実際にどれほど効果的であるかを示しています。 QNET社はSoftwareOneとともに、Microsoft 365 Copilotのいくつかのユースケースを調査し、ライターズブロックの克服、ドキュメントフォーマットの改善、データ分析の合理化、コンプライアンス文書の強化に重点的に取り組んだのですが、 プロジェクトを始めるにあたって、まず社内の300人の早期導入ユーザーがワークショップに参加し、ツールに慣れ、自信を深めるところから始めました。 こうした段階的なアプローチにより、QNET社は日常業務におけるAIの実用的な使用用途を特定することができたのです。 その結果、従業員はAIによる生産性向上への意欲が高まったと報告しており、同社は今後さらにこれらの取り組みを拡大していくことに積極的な姿勢を見せています。

当社におけるAIとの関わりはまだ初まったばかりですが、従業員は既にその可能性に大きな期待を寄せています。今後もSoftwareOneの継続的なサポートにより、今後進むべき正しい道を選択できることを期待しています。

Ivan Woo

QNET Ltd CIO

段階的アプローチによるAI導入で得られた専門知識などの様々なメリットを組織内で蓄積・統合し、お客様向けの革新的な取り組みに活用することで、さらに次のステップへと進むことができます。

ビジネスの可能性を広げる

社内でのAI基盤が構築されると、さまざまな事業拡大の機会が生まれます。 総合的に考えると、これらはビジネスにおけるAIの論理的な導入経路を構成するものとなり、大きな成果につながる可能性を秘めた、小さな一歩となります。

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以下の様な進歩も急速に起こり得ます。オプティマイズド・イノベーターの95%は、サービス品質とサービス革新に明確な重点を置き、2年以内に高度な顧客志向のAIソリューションを導入する計画を立てています。

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この道筋に沿って進めば、素晴らしい結果が得られるでしょう。

オプティマイズド・イノベーターは、AIを活用したサービス業務を通じて価値を生み出す可能性が、同業他社よりも53%も高くなっています。 また、市場投入までの時間が大幅に短縮され、価値実現までの時間が改善され、ビジネスの俊敏性が高まる可能性も高い。 そして、これらの改善は既に確立されている「企業としての能力」を基盤としているため、持続可能で拡張性も高い傾向にあります。

お客様独自のAI成功体験を作りましょう

AI導入の実現に向けて第一歩を踏み出しましょう。SoftwareOneの豊富な経験と最新の調査結果に基づき、自信を持って進むことができる以下の4段階のステップをご提案します。

SoftwareOneは、これまで多くのお客様企業がこのステップを進んで行くお手伝いをして参りました。 もちろん、AI導入の詳細は企業によって異なりますが、私たちは幅広い経験と業界特有の事例に基づいてお客様の出発点を明確にし、実用的な導入計画を作成するお手伝いを致します。

AI導入を成功させる4つのステップ:

  1. 出発点の選択
    • 社内のプロセスを優先的に改善する
    • 測定可能なプロジェクトを選択する
    • 身近なツールから始める
  2. 実用的なノウハウの習得
    • 実践的な業務を通してチームを育成
    • 早い段階での小さな成功を記録
    • 早い段階における課題から学ぶ
  3. 効果測定と再投資
    • 効率性の向上を把握する
    • コスト削減額を算出する
    • 新たなプロジェクトに投資する
  4. 確信を持って導入規模の拡大に取り組む
    • 顧客向けアプリケーションへの展開
    • 実績ある成功を基に更なる成功を築く
    • 効果測定を継続的に実施する
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